活動報告

2021年03月11日 聞法

2021年3月 東日本大震災から10年を迎えて

2011年3月11日14時46分、宮城県沖を震源とするⅯ9.0の巨大地震が東日本を襲いました。広域に渡る大津波の被害、福島第一原発の放射能汚染を始めとして、私達にとっては「震災前」「震災後」とで価値観や生き方が変わるほどの影響を与えられた大きな出来事でした。
あれから10年。今また、私たちはCOVID-19ウイルスの脅威にさらされ、人とのつながりや生活様式の変更を迫られています。この10年を見つめ直すことで、これからを生きる心の在り方を探していければ、と思います。

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2011年の東日本大震災は、あまりに広範囲の災害と福島第一原子力発電所の事故によって、否応なく変化する状況の中で「どうしたらいいのか」と常に問われているような日々でした。

避難所にいる人の「お風呂にはいりたい」という声を聞かせてもらったのをきっかけに、ドラム缶風呂や薪ボイラーのお風呂を持って、被害の大きい地域へ向かいました。そこでは、家が道の上でひっくり返っていたり、プールに車が飛び込んでいたり、ビルの屋上に津波で流されたバスが取り残されている光景に愕然としました。「ぼくのおうち流されちゃったんだ」とつぶやく子にかけてあげられる言葉もなくて、一緒に遊んで過ごすしかなかったことを憶えています。

また、原発事故の影響は広範囲に及んだので、屋外での活動を制限された子どもたちのために滞在先を用意して外で思いっきり活動するという保養事業が全国で立ち上がりました。真宗大谷派の寺院の協力もあって、私も子どもたちを引率して一緒に各地に出かけていきました。その後、除染が進み、屋外での活動も行なえるようになってからも、親子でゆっくり過ごし、他の参加者の方と気持ちを共有できる場として保養事業は続いてきています。

原発事故が起きてまず思ったのは、子どもたちの未来のことです。未来を生きる子たちに何ができるだろうか。そこから震災の経験や記憶がこれから起きる災害の助けになるのではないかと思い至り、保養、除染や放射能測定などいま必要な支援、ボランティア研修、災害対策ハンドブックや震災記録集などの作成を中心とする未来へつなぐ支援、そして熊本や北海道など他地域の災害支援を行ってきました。

あの震災から10年。被災地では仮設住宅から再建した自宅や復興住宅への転居がようやく落ち着き、日々の営みも着実に歩みを進めています。本当にたくさんの人に出会い、支えられ、すれ違ったりぶつかったりもしたけれど、その頃をふりかえりながら穏やかに再会できる今があります。

この10年を通してあらためて思うのは、悲しみを抱えて生きる人たちの強さです。この場所で生きていくという大地に根を張るような強さ、例え故郷を離れたとしても、そこで必ず新しい芽を出すような命の力を感じます。そこには人の悲しみに寄り添う心があるのだと思います。そのことがお互いを支え、今につながってきているのでしょう。

コロナ禍という世界的な災害を前に戸惑う日々ですが、私たちには今を生き抜いていく強さと、悲しみを感じあえる心がきっとあります。東日本大震災から学んだことは何であったのか。これから先の未来を生きるいのちのために、今私たちができることは何なのか、共に考えていきましょう。 

  • 仮設お風呂へ沸かしたお湯をバケツリレー

  • 避難所でお念珠つくり

  • 仮設住宅の集会場でおまいり

  • 東北子どものつどい(岩手プータロ村)

◎葬儀・法要・墓地その他についてのご質問、ご相談はお気軽にお問合せください。

真宗大谷派 徳泉寺 とくせんじ

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住職 徳泉寺 第17世住職
関口 真爾 せきぐちしんじ
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