2023年05月
「祟りはあると思いますか?」と聞かれたことがあります。これに私は「あると思う人にはある。ないと思う人にはない。ちなみにわたしにはありません。」と答えました。これは、霊があるのかないのか、ということだと思われます。
私たちは「死」を考えると恐ろしい。無になると思うと恐ろしい。何かが残ってほしい。だから魂が残るということを作ってしまうのではないでしょうか。では残った魂はどうなるのか。生の延長でしか考えられない私たちは幸せな魂と不幸な魂ができると考えてしまいます。実体としてないのに無になるのが怖いから作り、作ったものにとらわれて怖くなってしまう。思いで作ったものにとらわれている、これが私たちです。
そして、あなたは思いで作ったものにとらわれていますよ。本当のあなたはそうではなくて、存在そのものの願いを持って生きているんですよ、そのことに気づいてください、というのがお念仏のはたらきです。
お念仏というのは、私が仏様を念じるのではなく、逆に仏様の方から私が念じられていることに気づかしめられるということです。そしてその仏の願いを本願といい、仏の本願はもともと私という存在そのものの願い(志願)だったことに気づかしめられるのです。霊があるのかないのか、ということではなく、とらわれている自分に気づく、そのことが大切なのではないでしょうか
(同朋会 前住職法話より 2023年2月11日)
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